(このコーナーは管理人MACがシドニーの日系新聞”ジェンタ”に連載しているコラムを紹介するものです。VOL.22以前のコラムにもご興味のある方はここ、電子版でご覧ください

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Vol.58 最近の「日本はスゴい」っていう過剰な風潮はどうなのよ?

 先月のこと。日本への一時帰国直前、ちょっと前に一緒に仕事をした某番組のディレクターから電話あり。あいさつもそこそこにいきなり、「ところで近藤さん、◯◯島に住んでいる日本人の◯◯さんって知ってます?」と。◯◯島は、オーストラリアの最北端(と言ってもいいと思う)にある小さな島。ほとんど誰も知らないところだ。ただ僕は10年以上前にたまたまあるロケで◯◯さんにはお会いしたことがあった。

 何の番組かは、すぐにピンときた。今流行(?)の「海外のこんな辺ぴなところでも、我ら日本人が頑張って生きている」といった、熱い日系人を紹介する情報番組だ。

 個人的にはこの番組、けっこう好き。本当にえっ、と驚くようなところに我ら同胞が、それはそれはいろんな経緯があって逞しく暮らしている姿を見ると思わず画面に向かって「すげえ!」と叫んでしまう。そしてあんまり好きな言葉じゃないが「感動」もする。(結局、僕のスケジュールが合わずこのロケには立ち会えなかった)。

 まあ、そんな電話があり、しかし僕はと言うと予定通り日本へ行くことに。今回は息子と一緒の3週間の滞在。そこでまたいろいろと日本の番組を堪能していたわけですが(まあ、正確には暇つぶし)。しかしどうなんだろう、最近のテレビの傾向は。妙に「日本食が海外でこんなに評判」「日本に来ている外国人が日本のサービスや食を堪能、絶賛」「海外で逞しく頑張っている日本人がいっぱい」と、これでもかと日本(人)大絶賛番組の嵐。

 確かに海外(シドニー)に住んでいると、最近の日本(人)のスゴさは実感として分かる。今更言うに及ばず、日本の食やサービスは本当にすばらしいし、外国人が絶賛するのも分かる。そしてやはり一日本人としては、この傾向はそれなりに嬉しい。でもねえ。しかし、しかしですよ・・・。もともと日本のメディアはちょっと前まで、必要以上に、自分たちの国や文化をけなしたり批判したりしていたはず(今ももちろん続いていますが)。それがここにきて(この2年ぐらいか)急にあちこちで「日本人バンザーイ」と言われてもねえ。なにか安倍政権ができて、メディアに裏でこういった番組を作るようにプレッシャーでも与えているんじゃないのかと、勘ぐりたくもなる。

 もちろん日本人がやたら卑屈になるような報道もいやですが、逆にこんなふうに、日本人がやたら世界から尊敬されているよといった報道も、何やらすごく違和感があるのです。
 僕だけかもしれないけど、なぜこんな感情になるんだろう。そんな折、友人と一杯飲む機会があり、この話題で盛り上がり、何となく自分なりにこの「むずがゆさ」みたいなものの原因が分かったような気がします。

 1つは、日本の諸々のサービス、技術は確かにすごいが、日本人はその報酬が追いついていない。正反対の我がオーストラリア(サービス、技術は「あれ?」でも、人件費は高い「労働者天国」)と比べると分かりやすい。穿(うが)った見方をすると、日本人の多くが、「お国にだまされている」ような構図にみえる。日本人が頑張って世界的に評価されても、国民がその対価を得ていないのではないでしょうか。
 もうひとつ。やっぱり日本は伝統的に、すべてが一過性なブームで終わることが多い。今はこれが一時的なブームとも言える。悪くはないブームだが、相変らずみんなそっちの方向にいってしまうのはいかがなものか(国民というより、それをあおるマスコミがメインでしょうが)。過去の戦争でも福島の原発でも、こういった傾向があだになったような気がしますけど。考え過ぎか。

 さて最後に明るいトピックス。シドニーのCBD(中心)に新しい巨大なモニュメント(高さ50メートル以上)ができるそう(予定は2017年頃)。名付けて「雲のアーチ」。しかもこのデザインは日本人の石上純也氏。現シドニー市長は、オペラハウスと並ぶシドニーのアイコンになるよう期待していると。またすごい日本人が絶賛される時がきそうですね。頑張れニッポン!うん?

↓下記、雲のアーチのイメージ映像。いい感じです。