(このコーナーは管理人MACがシドニーの日系新聞”ジェンタ”に連載しているコラムを紹介するものです。VOL.22以前のコラムにもご興味のある方はここ、電子版でご覧ください

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VOL.53 オーストラリア北部の「雨期」を侮るなかれ


2014 年は年明け早々、何と35 日という長期ロケ。場所は、北部のカカドウー(四国と同じ大きさだとか)。テーマは「トサカレンカク」( 英語名:JAKANA) という水鳥。蓮の上をすいすいと器用に動き回る。我々は、そんな愛くるしい鳥を「忍者バード」と呼んでいた。

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オーストラリア北部の約三分の一は亜熱帯。通常12 月から3 月が雨期と言われ、このシーズンの雨の量は半端じゃない。ただ今回はこの鳥が主役ではあるが「雨期」そのものもテーマの一つであるのでこの時期にロケを行うのは仕方がない。

そして迎えた1 月10 日。日本からのスタッフが3 名、それに僕とケアンズから合流した動物学者のマーティンの計5 名がダーウィンに集合。機材が多いので(何と500キロ)4WD を2 台レンタルしてダーウィンから一路カカドウーへ。
地元の人に聞いてみると、今年は予想外に雨が少ないということ。ある意味ラッキーだ。というのも、この辺りの道路は少し大雨が続くと、すぐ浸水してしまい、たちまち道路閉鎖になってしまう。

ともあれ何とか200 キロ先の目的地、イエローウォーターに到着。ここはカカドウーのなかでも最大の湿地帯。そして野鳥の宝庫と言われ、人気の観光スポットだ。宿も1 軒だがすばらしいところがある。ここまで到着できただけでもとりあえずラッキー。そしてほぼ1 ヶ月近くをここで過ごすことに。

早速地元のレンジャーオフィスに挨拶に行く。するとカカドウーの名物の一つ、ウビル(風光明媚な山、有名なロックアートも多い)の手前の道路が少しやばい。ロケをするなら早い方がいいとアドバイスを受け、翌日ロケを決行。そしたらなんとその翌々日には道路が完全に浸水、閉鎖になってしまった。まあ、ここまではラッキーだった(のちに振り返れば)。

そしてメインの撮影が始まり約20日間が過ぎる。基本順調。ここでもう一つのメインであるヘリコプターでの空撮に挑むことに。この空港まではホテルから車で40 分。早朝出かけると何と途中の道路が大変なことに完全に浸水している。 必死で4WDモードに切り替えてなんとか脱出。その間100 メートルほどだっただろうか、しかし恐ろしく長く感じた。

さて、現場に到着後ヘリには3 名が乗り込む。僕と音声さんはヘリを見送り2 台の4WD で帰路につくことに。そしたら何と、すでに道路が閉鎖になっていた! 結局我々2 名は近くの街で待機。メインの3 名は、ヘリでそのままホテルに戻ったのですが、実はこちらはもっと大変なことにホテルがなんと浸水し始めていた。

これ以上水量が増えると、ワニが入り込む危険もあるということで、ついに緊急避難。これは完全に「想定外」。といっても隣街にいく道路も閉鎖。結局うちのスタッフ3 名は機材約500キロと一緒にセスナを2 機チャーターして飛んできた。いやあ、すごい状況でした。その後数日をこの街でつぶし、なんとか遠回りをしてダーウィンに戻ってきましたが、最後に車中カメラマンがつぶやいた一言が印象的だった。

「我々が“ イってQ” 取材班だったら、この過酷なロケ、裏も全部見せておいしい番組になったのにね…」

ちなみにこの番組はまじめなドキュメンタリー。こんな裏事情はいっさい流れません(悲)。
しかし、極道風に言えば、

「北部の雨期をなめたらあかんで!」

皆さんも、そんな機会があったらお気をつけて!

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